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技術的負債を天秤に掛けるもの

技術的負債は、最も高い優先度と共に避けなければならないものである。私はずっとそう考えていた。最近は、技術的負債を負ってでも達成するべきことはあると感じるようになってきた。

もう6年以上前になる。ソフトウェアエンジンとして、そしてソフトウェアエンジニアのマネージャーとしての豊富な経験がある、シニアな方とお話する機会を得た。なかなか無い機会なので、時間を有意義に使うためにどうしたら良いのか色々考えていたのを覚えている。

当時私は、スタートアップにおいて、溜まりに溜まった技術的負債を返済するためにとても苦労していた。それもあって、技術的負債とは、いかなる理由があろうと避けるべきもので、それを拒むに足る理由のあるものなど存在しないと思っていた。それが例え、開発の速度が全てであるスタートアップにおいても。

開発の速度ですね

それはとても呆気なかった。”スタートアップにおいて、開発の速度と技術的負債を避けることは、どちらがより重要ですか?”、という私の問いに対する彼の答えだった。私は、この問いに対する自身の解答に自信が得られると思っていたが、そうではなかった。

そもそも、そんな質問をしたことを考えると、当時の私もこの問いに対して絶対的な自信を持った解答は持ち合わせていなかったのだと思う。そのシニアな方の回答も含め、”開発の速度と技術的負債を避けることはどちらがより重要なのか”、に関しては今でもずっと考えている。

正確な解答は状況に大きく依存すると思うが、私の現在の考え方で当時とは違っている部分がある。それは、技術的負債を天秤に掛けうるものは存在する、という部分だ。当時は、そんなものは存在しないと思っていた。